AKARIが始まった本当のきっかけは、パタゴニアだったと言っても大げさじゃない。
マルコとシンペイが初めて出会ったのは2014年、伊豆で開催されたトレイルランニングのレース。シンペイはフォトグラファーとして、マルコはモデルとして現場に居合わせた。「いい出会いだったね」と言葉を交わして、それきり連絡を取り合うこともなかった。
2024年の初め、シンペイからマルコに連絡が入る。パタゴニアのレインウェアのケア方法を説明する短い動画を撮るから、手伝ってほしい。撮影現場で改めて顔を合わせた僕らは、初めて気づいた——一緒に何かを作るのが、本当に楽しい。それで、会社をやることにした。
同じ年、パタゴニア・ジャパンから初の長編ドキュメンタリーの依頼が届いた。トレイルランナー南圭介さんがフランス・ピレネー山脈の「GR10」でFKTに挑む、その壮絶な過程を3週間にわたって密着した。
現場でも、その後の数ヶ月に及ぶ編集作業でも、ずっと寝不足が続いていた。それでも、たくさんの仲間たちに助けられながら、AKARIとしての最初の長編映画『Chasing South』を無事に世に出すことができた。
そして2026年の1月、さらなる奇跡のような機会が訪れる。
パタゴニアの創設者イヴォン・シュイナードが来日し、その滞在を記録するパートナーに、僕らを選んでくれたのだ。東京での3日間、僕らはイヴォンに同行した。彼はまさに、本で読んで憧れていた通りの人だった。生き方そのものから自然への愛が滲み出ていて、発するメッセージには微塵のブレもない。
すべての撮影が終わった、最後の小さな時間。僕らはカメラを置いて、ひとりのファンに戻って、彼に記念写真をお願いした。
イヴォンの来日をきっかけに、改めて彼の哲学を読み返した。深く共感したのは、「1% for the Planet」を立ち上げた理由だ。
「これは慈善活動ではない。地球税だ。僕たちは使わせてもらっている資源に対して、地球に家賃を払っているんだ。」 — Yvon Chouinard
AKARIの仕事場は、たいてい山の中だ。夏も冬も、現場はトレイルの上。自然こそが、僕たちのオフィスでもある。だからこそ、自分たちの会社にとっても、地球への家賃を払う約束は、当たり前のことだと思った。
2026年3月から始まった年度、AKARIは「1% for the Planet」に正式に加盟した。僕らはまだ小さなスタジオで、貢献できる額もわずかかもしれない。でも、遊び、働き、ときには眠る場所でもあるこの自然へ、感謝の印として「家賃」を払いはじめる。
僕たちのオフィスに戻るのが、いつだって待ち遠しい。